日本には、チップでお金を稼ぐ文化があまり浸透していませんが、海外に出てみると観光地を中心に、チップだけで生計を立てている人はたくさんいます。
路上パフォーマーなどアーティストもたくさんいますが、小さな子供たちもこのチップ社会で必死に生きていました。
NYはエンタメの街
NYのマンハッタン島は、アメリカでは貴重な(?)車がなくても移動が簡単にできる街で、地下鉄路線も充実しています。
ニューヨークは金融や経済の中心であるだけでなく、エンターテイメントがぎゅっと詰まった観光客にも人気の魅力的な街ですが、ニューヨークの地下鉄の中でちょっと衝撃的な現場に立ち会ったので記録しておきます。
NY地下鉄内のキッズショー
その日は友人とある目的地に向かうために地下鉄に乗っていました。
特に混み合っている時間帯でもなく、みんなゆったり座ってのんびりとしていました。
すると突然、おそらく就学前、5歳位の小さな男の子が3人私たちのいる地下鉄の車両に入ってきました。
「こんな小さい子供だけで地下鉄に乗るなんて都会だな」なんて思いながら見ていると、その3人の男の子は突然歌を歌い始めました。
しかも、ものすごく上手。
単純にその歌声に聞き惚れてしっかり最後まで見届けること数分。
拍手でもしようかと思ったその瞬間びっくりすることが起こりました。
お支払いの時間です!
歌い終わりがちょうどひと駅先に着くまでの歌の長さになっているようで、次の駅に着く直前くらいに歌を終えた3人の男の子は、急に3手に別れて車両を歩き回りました。
最初何をしようとしているのかわかりませんでした。
客の何人かが目の前に来た子供達にチップを渡していました。
笑顔でもなく、子供達に「Thank you.」「Good!」など褒めるような言葉を伝えるでもなく、目すら合わせずに、少額紙幣をその子たちに差し出していました。
子供達も笑顔になるわけでもなく、かといって何かを要求するような態度もなく、ただただ無表情のまま淡々と紙幣を差し出した人から「Thank you...」と言ってお金を受け取り、発車ベルが鳴ると3人まとまって次の車両へと消えて行きました。
お金の稼ぎ方
しばらく経って、やっと子供たちの意図が理解できました。
彼らは、地下鉄で歌を(強制的に)聞かせてその対価(チップ)をもらうという方法で、お金を稼いでいたのです。
観光客を対象にした路上パフォーマンス、レストランに突然(頼んでないのに)パフォーマーが入ってきて演奏してチップを集めるようなことは海外ではよくありますし、小さな子供達が必死で(あまり価値のない)何かを売ってお金を得ようする場面に出会うこともあります。
ニューヨークというエンターテイメントの街で、彼らは自分たちの歌に対する他人の評価をみるために地下鉄内で歌っていたのか、それともお金を稼がざるを得ない状況で自分たちができることをしているのか、それとも他の理由があるのか真相はわかりませんが、いろいろと考えることがあった一件でした。