よく使う「前置詞」の役割や意味を整理してまとめました。
前置詞とは
前置詞とは、文の中にある他の要素との関係を表す「設置詞」という品詞の1つで、名詞の前に置かれます。
よく使う前置詞の意味と使い方
よく使う前置詞や使い分けに悩む前置詞をピックアップしました。
イメージで整理するとわかりやすくなります。
- 「for」:「目的に向かって進んではいるが、到着していない」
- 「to」:「目的に向かって進み、最終的に到達する」
- 「into」:「対象物がある空間のある一点に入る」
- 「from」:「目的を起点として離れていく」
- 「off」:「もともとあった場所から離れる」
- 「out of」:「ある範囲の外にいる状態や外に出る」
- 「against」:「何かに反対したり対立したりする」
- 「behind」:「何かの後ろに隠れている」
- 「under」:「あるものの真下にある」
- 「below」:「基準よりも低いところにある」
- 「down」:「下の方に下がっている」「起点となるポイントよりも下の状態」
- 「over」:「対象を乗り越えて反対側にたどり着く」
- 「up」:「上の方に向かっている」「起点となるポイントより上の状態」
- 「above」:「基準よりも高いところにある」
- 「beyond」:「基準点や範囲、境界線を越えた向こう側」
- 「near」:「対象とそう遠くない近い位置にある」
- 「close」:「対象とそう遠くない近い位置・関係にある」
- 「beside」:「対象のかたわらに並んでいる」
- 「by」:「対象との間に差がある」
- 「along」:「細長いものに平行して沿っている」
- 「across」:「平面を横切る」
- 「through」:「空間や時間を通り抜ける」
- 「between」:「2つのものに挟まれている状態」
- 「among」:「3つ以上の何かに取り囲まれている状態」
- 「during」:「特定の期間中」
- 「with」:「一緒にいる、伴う、何かを所有している」
- 「of」:「あるものの一部に属している」
- 「about」:「何かの周辺を漠然と表す」
- 「around」:「何かを取り囲んでいる状態」
- 「in」:「空間的な広がりのある環境の中にいる」
- 「at」:「ある一点」
- 「on」:「平面的な部分に接触している」
「into」「for」「to」の違いと使い分け
- 「for」:「目的に向かって進んではいるが、到着していない」
- 「to」:「目的に向かって進み、最終的に到達する」
- 「into」:「対象物がある空間に入る」
「to」は到達点を含む方向を示し、確実に目的地に到達することを表します。
「for」は目的地に向かって進んでいる状態(まだ到着していない・目的地は含まない)ことを表し、何かを求める、期間、賛成などの意味もあります。
「in」と「to」を合体させた「into」は、ものや空間の中に入っていくイメージで、衝突する、変化するという意味もあります。
「from」「off」「out of」「against」「behind」の違いと使い分け
- 「from」:「目的を起点として離れていく」
- 「off」:「もともとあった場所から離れる」
- 「out of」:「ある範囲の外にいる状態や外に出る」
- 「against」:「何かに反対したり対立したりする」
- 「behind」:「何かの後ろに隠れている」
「from」は、「目的(場所や時間など)を起点として離れていく」ことを表し、原因、出身、原料を表現する際にも使われます。
「off」は、「もともとあった場所から離れる」ことを表し、去る(その場から離れる)、降りる(乗っていたものから離れる)、脱ぐ(着ていた衣服から離れる)、スイッチを消す(電極が離れる)や休暇(仕事から離れる)の意味でも使われます。
「out of」は、「ある範囲の外にいる状態や外に出る」ことを表します。
「against」は、「何かに反対したり対立したりする」ことを表します。(「For」の反対)
「behind」は、「何かの後ろに隠れている」ことを表し、時間などに遅れる、支援するという意味でも使われます。
「under」「below」「down」の違いと使い分け
- 「under」:「あるものの真下にある」
- 「below」:「基準よりも低いところにある」
- 「down」:「下の方に下がっている」「起点となるポイントよりも下の状態」
「under」は、「あるものの真下(直下)にある」ことを表し、管理下、影響下という意味があります。
「below」は、「基準よりも低いところにある」ことを表し、物理的な位置関係だけでなく、数値が低い場合や(成績などが)標準よりも劣っている場合などにも使われます。
「down」は、「下の方に下がっている」「起点となるポイントよりも下の状態」ことを表し、バスのような高い乗り物から降りる場合は「get out」よりも「get down」が使われたり、「feel down(気分が落ち込む)」「down the ages(大昔から)」などの表現がよく使われます。
「over」「up」「above」「beyond」の違いと使い分け
- 「over」:「対象を乗り越えて反対側にたどり着く」
- 「up」:「上の方に向かっている」「起点となるポイントより上の状態」
- 「above」:「基準よりも高いところにある」
- 「beyond」:「基準点や範囲、境界線を越えた向こう側」
「over」は、「over the rainbow」のように「対象を弧を描くように上を乗り越えて反対側にたどり着く」ことを表し、程度や数量を超える意味を表すこともあります。
「over the bridge(橋を渡ったところ)」「over the phone(電話で)」などの表現がよく使われます。
「up」は、「上の方に向かっている」「起点となるポイントより上の状態」ことを表し、出現、浮上、出世などの意味もあります。
「get up(起きる)」「move up(昇進する」などの表現をよく使います。
「above」は、「基準よりも(接することなく)高いところにある」ことを表し、物理的な位置関係だけでなく、数値が高い場合や(成績などが)標準よりも優れている場合などにも使われます。
「beyond」は、「基準点や範囲、境界線を越えた向こう側」ことを表し、場所や時間に対しても使えますが、「ある特定の範囲に遠く及ばない(予想外・想定外・範囲外)」というニュアンスが強くなります。
「near」「close」「beside」「by」の違いと使い分け
- 「near」:「対象と(場所・時間・状態が)そう遠くない近い位置にある」
- 「close」:「対象と(場所・時間・状態・人間関係が)そう遠くない近い位置・関係にある」
- 「beside」:「対象のかたわらに並んでいる」
- 「by」:「対象との間に差がある」
「near」は、「対象と(場所・時間・状態が)そう遠くない近い位置にある」ことを表します。
「close」は、:「対象と(場所・時間・状態・人間関係が)そう遠くない近い位置にある」ことを表します。
人間関係(信頼関係)の近さを表現する場合は「close」を使います。
「beside」は、「対象の横に肩を並べるように並んでいる」ことを表します。
「beside the window(窓際)」やbeside my friendは「beside my friend(友人と肩を並べている状態)」などのように使い、「beside myself(自分が自分の横にいる→我を忘れる)」というような表現もあります。
「by」は、「近くではあるけれど対象との間に差がある」ことを表します。
「by the sea(海のそばだけど間には差がある)」「by one minute(1分の埋められない差で)」「by the way(道との間に差が生じる→話題を変える→ところで」というような表現に使われます。
他にも、「written by pen」など手段や方法を表したり、「by tomorrow」など「〜まで」と期限を表す場合にも使います。
「along」「across」「through」の違いと使い分け
- 「along」:「細長いものに平行して沿っている」
- 「across」:「平面を横切る」
- 「through」:「空間や時間を通り抜ける」
「along」は、「道や川など長く続くものに平行して沿っている、移動している」ことを表します。
物理的に存在している物だけでなく、「along the trip(旅行中に)」「along the line(方針に従って)」などという使い方やずっと寄り添っていくイメージから「仲良くやっていく」という意味もあります。
「across」は、「平面を横切る(川や道路を横切って向こう側に渡るようなイメージ)」ことを表します。
「across the street(通りを横切る)」「across the country(国中に)」のような広い面をだけでなく、「cross my arms across my chest(胸のあたりで腕を組む)」のように狭い面が対象になることもありますし、道路などの向こう側を表す場合もあります。
「through」は、「空間や時間を通り抜ける」ことを表します。
物理的な空間の他、「through the night(一晩中)」や「through an interpreter(通訳を介して)」などのように時間や手段の表現に使います。
「between」「during」「among」の違いと使い分け
- 「between」:「2つのものに挟まれている状態」
- 「among」:「3つ以上の何かに取り囲まれている状態」
- 「during」:「特定の期間中」
「between」は、「2つのものに挟まれている状態」ことを表します。
2つの場所、時間、状態、数などの間を表現する時に使います。
「among」は、「3つ以上の何かに取り囲まれている状態」ことを表します。
対象物が3つ以上ある場合ですが、「among the crowd(人混みの中で)」などのように対象の数が明確になっていない場合によく使います。
「during」は、「夏休み中」とか「日中」などのように特定の期間中」ことを表します。
「長い間」や「数ヶ月間」などの不特定の期間には「for」を使います。
「with」「of」「about」「around」の違いと使い分け
- 「with」:「一緒にいる、伴う、何かを所有している」
- 「of」:「あるものの一部に属している」
- 「about」:「何かの周辺を漠然と表す」
- 「around」:「何かを取り囲んでいる状態」
「with」は、「一緒にいる、伴う、何かを所有している」ことを表し、道具や手段を表す意味でも使います。
「of」は、「つながり(所属・所有・属性・関連性」を表します。
また、所属しているところから分離する意味もあり、出所、材料、原因という意味でも使われます。
「about」は、「何かの周辺を漠然と表す」表現で、ちょうどではなくあいまいに情報を伝えたい時に使います。
「around」は、「何かを1周ぐるりと取り囲んでいる状態」で、「 around the campfire」など場所を取り囲む場合に使われたり、「around clock(時計一周→休みなく)」のような表現もあります。
「in」「at」「on」の違いと使い分け
- 「in」:「空間的な広がりのある環境の中にいる」
- 「at」:「ある一点」
- 「on」:「平面的な部分に接触している」
「in」:「空間的な広がりのある環境の中にいる状態」を表します。
「at」:「ある一点」を表します。
「on」:「平面的な部分に接触している状態」を表します。