中国語を使って世界で活躍したいなら、まず最初に知っておきたい中国語の超基礎文法をまとめました。
中国語文法の大前提
まず、中国語の文法の大前提(中国語特徴的な基本ルール)として以下があります。
英語など欧米の言語を習得するときに悩みの種のなるような面倒な活用や時制がないのが中国語のよいところで、【正しい語順で単語(活用なし)の足し算!】が中国語文法の基本です。
要素 | 中国語の特徴 |
---|---|
基本文型(語順) | S+V+O(主語を明確にする) |
時制 | ない(時系列に並べる) |
動詞や形容詞の活用 | ない |
男性名詞・女性名詞・冠詞など | ない |
単数形や複数形の区別 | 基本的にない(主語は変わる場合がある) |
日本語や英語では、主語や時制などにより動詞や形容詞を変化させる必要がありますが、中国語には動詞や形容詞の活用がありませんので、特定の語句を追加することで、時間の差(過去・現在・未来)などを表現します。
英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語などの学習で悩みのタネになるのが、日本語にはない男性名詞、女性名詞、冠詞ですが、これらは中国語にはありませんし、単数か複数かで英語のように名詞が変化することはありませんので、名詞の前に数量を追加することで数を表現します。
中国語基本文型
時制や活用などがない中国語では語順がとても大切で、語順が少し変わるだけで意味やニュアンスが大きく変化してしまう場合や、通じなくなったり誤解を招く可能性がありますので注意が必要です。
中国語の基本文法はS+V+Oで英語と同じ。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
我+是+日本人 | 私は日本人です。 | |
主語をはっきりさせた上で時系列通りに活用しない単語を順番に並べるのが基本で、SとOを他の単語に変えれば、いろんな人(物)の特徴や動作などを表現できます。
動詞が複数ある場合も基本的に時形列で並べ、目的語が2つ以上ある場合は人が先、物がその後に来るのが基本です。
中国語否定文の基本ルール
日本語で漢字熟語で否定を表現するときは、「不」「無」「非」「未」などがあり、更に助動詞「〇〇ない」などがありますが中国語ではどうなるでしょうか?
中国語の否定文のルールもシンプルで、動詞・助動詞・形容詞の前に「不(bù)」または「没(méi)/没有(Méi yǒu)」を置くだけです。
全ての形容詞とほとんどの場合の動詞の否定は「不(bù)」で間に合い、「没(méi)」は「有る」ことや過去の経験(動詞)の否定に使います。
中国語 | ピンイン | 使い分け | 例文 |
---|---|---|---|
不 | bù | 全ての形容詞とほとんどの場合の動詞の否定 | 不读那本书(Bù dú nà běn shū) |
没 | méi | 有ることや過去の経験(動詞)の否定 | 没有读那本书(Méiyǒu dú nà běn shū) |
「不读那本书(Bù dú nà běn shū)」と言うと「その本は読まない」という意味になりますが、「没有读那本书(Méiyǒu dú nà běn shū)」というと「その本を読んだことがない」という意味になります。
中国語には時制(過去形)がないので、経験や完了表現は結構重要です。
ちなみに、形容詞の否定には全て「不(bù)」を使うので、「那商品不便宜(Nà shāngpǐn bù piányí)」と言った場合、「その商品は安くない。(現在形)」のか「その商品は安くなかった。(過去形)」なのかは前後の文脈から判断するしかありません。
「不(bù)」または「没(méi)/没有(Méi yǒu)」の使い分けをもう少し詳しく整理すると以下のような感じになります。
「不」 | 「没」・「没有」 | |
---|---|---|
概念 |
|
|
構文 |
|
|
単独使用 | 可 | 不可 |
ざっくり訳 |
|
|
平叙文 | 否定文 | |
---|---|---|
不 | ||
没 |
また、「会」「能」「喜欢」がある場合はその前に否定語を置きます。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
我不能吃香菇 | Wǒ bùnéng chī xiānggū | 椎茸が食べられない |
我不喜欢早起 | Wǒ bù xǐhuān zǎoqǐ | 早起きが好きではない |
中国語でも「未成年」や「無意味」などの語句を使いますが、この時の「未」や「無」は英語でいう(in-, un-, dis-, non-)のような接頭語であり、「未成年」や「無意味」は非定文ではなく否定の接頭語を伴った単語なので、ここは区別しておきましょう。
中国語疑問文の基本ルール
中国語で質問文にしたい場合は、平叙文の最後に「吗?」をつけるか「~不~」と反復するかのいずれかになりますが、基本的に「吗?」の方が穏やかで丁寧な印象を受けるようです。
中国語 | ピンイン | 日本語訳 |
---|---|---|
这个你吃吗 | Zhège nǐ chī ma | これ食べますか? |
这个你吃不吃? | Zhège nǐ chī bù chī? | |
你知道这个新闻吗? | Nǐ zhīdào zhège xīnwén ma? | このニュースを知っていますか? |
你知不知道这个新闻? | Nǐ zhī bù zhīdào zhège xīnwén? |
「知道」の疑問形は「知不知道」が一般的で、「知道不知道」と言っても間違いではないですが、かなり強いニュアンスになってしまうので注意しましょう。
中国語命令文の基本ルール
中国語は動詞の活用がないので主語を省略したりイントネーションを変えることで命令を表現したり、述語が形容詞の場合は文末に点儿!を追加します。
用法 | |
---|---|
述語が動詞 | |
述語が形容詞 |
例えば以下のような表現ができますが状況や口調で日本語訳のニュアンスは変わります。
平叙文 | 命令文 | 意味 |
---|---|---|
来! | ||
你+过来! | ||
你们+快+点儿! | ||
冷静+点儿! |
同じように特有の語彙を足して依頼、相談・提案・勧誘、禁止を表現することも命令文のようになる場合があります。
中国語受け身の基本ルール
受け身を表現する中国語では「行為の受け手が先、行為を行い手が後」が基本ルールで、受け身を表す語句(被・叫・让・给)を追加します。
基本文型としては:(受け手)+(被・叫・让・给)+(行い手)+(動詞)+(補語):となります。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
我的钱包+被+偷了 | 私の財布が盗まれた | |
我的钱包+被+弟弟+弄坏了 | 私の財布が弟に壊された。 |
物が被害を受けた場合には人ではなく被害の物が主語(受け手)になる、行為を行った人が明らか、または不明な場合は、行い手を省略できる、補語の部分には、「了」「了+目的語」「方向補語」「様態補語」「結果補語」が付くなどのルールもあります。
また、日本語訳では受け身表現になる場合でも、中国語では受け身を使わない場合もあ理ます。
使役や命令文についてさらに詳しくはこちらの記事にまとめています。
連動文(動詞が複数の場合)基本ルール
英語では1つの文章に複数の動詞を使えないので動名詞や不定詞を使うと言う面倒な文法ルールがありますが、中国語は日本語と同じように複数の動詞を同じ文章でつなげて使うことができます。
動詞が2つ以上ある文章を「連動文」と言いますが、「連動文」では動作の発生順、つまり時系列通りに並べるのが中国語の基本ルールです。
この原則は動詞が何個あっても同じですが、ダラダラ話すと何が言いたいのかわからなくなるので2つくらいまでで文章を一度区切ったほうが親切です。
連動文は大きく以下の4つのパターンに分けられるのでそれぞれ例文でもう少し詳しく整理してみましょう。
- 1)前の動詞①に対して後ろの動詞②が目的になっている場合
- 2)前の動詞①が後ろの動詞②の手段や方法を示す場合
- 3)前の動詞①を後ろの「動詞②+目的語」の動詞句が修飾する場合
- 4)「人+来+動詞」の場合
前の動詞①に対して後ろの動詞②が目的になっている場合
例えば「スーパーへ買い物へ行きます。」と言いたい場合、行ってから買い物をするので、語順は①行く②買い物をするになります。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
我们去超市买东西 | wǒmen qù chāoshì mǎi dōngxi | スーパーで買い物をします |
我们不去超市买东西 | Wǒmen bú qù chāoshì mǎi dōngxi | スーパーへ買い物には行きません |
我去公园做瑜伽 | Wǒ qù gōngyuán zuò yújiā | 公園へ行ってヨガをします |
否定文を作る時は、最初の行動となる①を否定します。
前の動詞①が後ろの動詞②の手段や方法を示す場合
「動詞①+目的語+動詞②+目的語」となる場合は、前の動詞①が後ろの動詞②の手段や方法を示すように配列します。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
他用中文做陈述 | tā yòng zhōngwén zuò chénshù | 彼は中国語でプレゼンをします |
他不用中文做陈述 | tā búyòng zhōngwén zuò chénshù | 彼は中国語ではプレゼンをしません |
他们坐地铁去会场 | tāmen zuò dìtiě qù huìchǎng | 彼らは地下鉄で会場へ行きます |
他们不坐地铁去会场 | tāmen bú zuò dìtiě qù huìchǎng | 彼らは地下鉄を使わず会場へ行きます |
他们也坐地铁去会场 | tāmen yě zuò dìtiě qù huìchǎng | 彼らも地下鉄で会場へ行きます |
他们坐地铁去过会场 | tāmen zuò dìtiě qù guò huìchǎng | 彼らは地下鉄で会場へ行ったことがあります。 |
我骑自行车去公园 | Wǒ qí zìxíngchē qù gōngyuán | 自転車に乗って公園へ行きます。 |
「動詞①+目的語+動詞②+目的語」となる場合はこれで1セットなので否定文を作る時は①を否定します。
また、「也」や 「都」は動詞①の前、「了」や「过」は動詞②の後ろに置きます。
前の動詞①を後ろの「動詞②+目的語」の動詞句が修飾する場合
基本的に動詞①に「有」や「没有」が使われます。
中国語 | ピンイン | 意味 |
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我没有钱买手机 | Wǒ méiyǒu qián mǎi shǒujī | お金がなくてスマホが買えません |
家里有东西吃吗? | jiālǐ yǒu dōngxi chī ma | 家に食べるものはありますか? |
「人+来+動詞」の場合
「人+来+動詞」のように「来」を使って連動句を作った場合は意思や命令のニュアンスを含む場合があります。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
这份资料我来做 | zhè fèn zīliào wǒ lái zuò | 私が資料を作っておきます |
到了公司这份合约你来处理 | dào le gōngsī zhè fèn héyuē nǐ lái chǔlǐ | 会社に着いたらこの契約書を処理しておいて |
中国語の時制(過去や未来)表現
中国語にはそもそも「時制」という概念がなく、英語や日本語のように時制によって動詞を活用する用法もありません。
ではどうやって時間を表現するかというと、過去や未来などを具体的に表す単語を文頭(基本的には主語の前後)にプラスするだけです。
時間を示す単語が文頭に来るので、「昨日」から文が始まれば過去の話だし、「今日」から文が始まれば今やこれからやることの話、「来週」から文が始まれば未来の話、という感じです。
中国語 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
我去年去台湾 | Wǒ qùnián qù táiwān | 去年台湾へ行きました |
我明天去台湾 | Wǒ míngtiān qù táiwān | 明日台湾へ行きます |
英語でいう完了形のようなものは中国語では時制と考えないので、単純に時制に関する単語を足しただけで解決しない場合もあります。
中国語の完了表現や予定表現に関する詳しい解説はこちらの記事でまとめています。
動作が行われた時間を表す表現に使う中国語についてはこちらの記事でまとめています。